日本語

中国のタバコ

中国のたばこ事業は国営で、たばこ販売は許可制である。許可の基準は定かではないが、いたるところにたばこ屋がある。
中国人はとにかくよくタバコを吸う。女性の喫煙者こそ日本より少ないものの、男性の半分以上は喫煙者、中国全体で約3.5億人のスモーカーがいると言われている。
歩きタバコをしている人も多いし、バイクや自転車に乗りながら吸っている人もいる。屋台のおじちゃんも肉を焼いているかと思えば、空いている方の手にはちゃっかりタバコ。でも何より驚いたのは食事中の喫煙事情。中国のレストランでは特に禁煙?喫煙席の区別はなく、テーブルには当たり前のように灰皿が置いてある。そして多くの中国人はその灰皿を使って、当たり前のように食事中もタバコを吸う。灰皿がない場合には、吸った灰をそのまま床やイスの上に落としたりもしているが、見ている店員も特に注意しない。
そもそも中国はタバコに限らず、食事中のマナーにかんしては大らかだ。みんな大きな声でワイワイ話し、タバコを吸い、酒を飲み、美味い料理を食べる。「細かいことは言わず、楽しくやろうよ」というこの感じ、案外悪くないかもしれない。
ただ中国でも禁煙へ向けた動きは一応ある。既に今年1月から北京で始まった「北京市飲食業禁煙推進行動」ではレストラン内では食事中のタバコをやめるよう市民に訴えているほか、先日は北京五輪組織委員会が「2008年に予定されている北京五輪を無煙（ノースモーキング）五輪にすることを検討している」と発表した。
もともと挨拶がわりに渡すことも多く、社交アイテムのひとつとしても愛用されてきた中国のタバコ。そんな中国の光景も近いうちに変わってしまうのだろうか。
一般的に言えることとして、中国産のたばこは日本産と比べ重い。つまり、タールとニコチンの含有量が多いと言うこと。セブンスターがかわいく見えるかも。日本人向けとしては、マイルドセブンライトに相当する「中南海」が比較的吸いやすいかもしれない。
アモイのタバコ「鼓浪嶼」である。コロンス島はアモイの西南にある小島で、近代に欧米列強の租界地となったことから、洋館が立ち並ぶ異国情緒あふれる街並みが今でも残り、アモイのシンボルとなっている。
南国風情あふれるヤシの木をデザインした海南島のタバコ「椰王」と広州の「椰樹」は海南島のお土産として人気です。
北京のシンボル天安門と天安門広場の南に位置する「前門」のタバコである。前門は紫禁城を囲む内城の南の正門であった。前門の周りは東京で言えば浅草のような下町の繁華街で、前門からまっすぐ南に伸びる前門大街は北京一のメインストリートであった。現在、昔の街並みを再現する工事が終わって、レトロな路面電車も走る。前門大街から西には大柵欄という古い街並みが残る商店街が広がり、昔ながらの風景を残している。タバコのパッケージも古き良き北京を思い起こさせる、レトロなデザインである。
「北京」タバコは「中華」と同じく天安門が描かれていますが、門の両端は華表ではなく、天安門の前の大通り、長安街に並ぶ街灯が描かれている。街灯はシャンデリア風で、広い道路と整然と並ぶ街灯から、一見するとシャンゼリゼ通りに見えないこともない。
世界的に禁煙ブームが進む中、中国でも非喫煙者の割合は増加している。しかし、タバコは中国人にとって重要なコミュニケーションツールの一つであり、喫煙者同士でタバコを勧め合う「敬煙」という習慣もあるほど、タバコは中国人にとって重要なものである。今回は中国で最も高価で有名なタバコに迫る。
江蘇省であれば「南京」、浙江省であれば「利群」、「大紅鷹」といった具合に広大な国土を誇る中国では「ご当地タバコ」が存在し、外国メーカーのタバコまであわせると400以上の銘柄が存在するといわれている。
日本であればタバコの値段は全国どこでも同一であるが、中国ではタバコの再販価格が指定されていないため、店や地域、季節によって値段が変動する。例えば、中国ではタバコは贈答品としても重宝するため、春節など多くの人が贈答品を買い求める時期には品薄となって値段も高騰するのである。
面子を重んじる中国人にとって、タバコは車や家などと同様に自らの身分を表す重要なツールでもあり、高価なタバコを人に勧めることは面子の立つことなのである。中国で流通する400以上の銘柄の中で、自らの身分を表すことが出来、大いに面子が立つタバコとしては「大熊猫（パンダ）」や「中華」を挙げることが出来るだろう。
「大熊猫（パンダ）」はトウ小平が愛したタバコであり、以前は高級官僚でなければ入手できないほど高価で貴重なものだったという。現在では比較的入手しやすくなっているというものの、それでも依然として高級品に変わりはなく、1本で他の銘柄のタバコ1箱分に相当するほど高価である。
また、「中華」はその名が表すとおり、まさに中国を代表するタバコといっても差し支えないほどの知名度を誇る。幾つかのラインナップが存在し、中には1箱100元（約1500円）を超えるものも存在し、これを吸っていれば面子の立つタバコと言う事が出来るだろう。しかし、こういった高級タバコには粗悪な海賊品も存在するため、購入の際には注意が必要だ。写真は押収された高級銘柄商品の海賊品。高級タバコである「中華」の赤いパッケージも見える。
タバコ王国雲南省からもう一品。昆明のタバコ「石林」です。石林は昆明郊外にある一大景勝地。緑豊かな森林に囲まれ、カルスト地形の奇岩奇峰が林のように並ぶことからその名が付けられました。大昔に海の底であった地形が地殻変動によって地表に姿を現した後、何万年もの間の侵食を繰り返して、天を突くような鋭い石峰が連なる自然の芸術が作り出されました。現在ではこの石峰群の間を縫うように遊歩道が作られ、奇峰を見上げながら見学することができます。石林では年に一度、周辺に住む少数民族、彝(イ)族が集まって有名な火祭りが行なわれるそうです。普段でも石林の中では民族衣装で着飾った彝族の女性たちが観光客相手に土産物を売ったり、写真撮影をしたりしています。
中国の人が一番好んで吸うタバコの一つは「紅塔山」である。雲南省玉渓市のブランドで、雲南省は省収入の7割をタバコ産業が占めるタバコ王国で、中でもこの「紅塔山」を作る「紅塔集団」は中国最大のタバコメーカーとして有名である。アメリカやシンガポールにも進出し、中国の企業ランキングでも上位に入る優良企業だそうである。雲南省のタバコ生産は1939年前後に外国からの優良品種を導入して以来50年以上の歴史があるが、近年の世界的な嫌煙ムードの中、これらの企業でも脱タバコ産業依存の体質転換を迫られているなどという話も聞いたことがある。でも中国の街中を見れば嫌煙ムードもなんのその、まだまだスパスパやっている。タバコ王国雲南省の座も当分は安泰でしょう。
紅塔山と並ぶ、紅塔集団のもう一つの銘柄「阿詩瑪」である。阿詩瑪とは伝説に出てくる雲南省の少数民族、彝(イ)族の美しい娘の名前である。阿詩瑪には阿黒哥という恋人がいたが、地主の息子が横恋慕して阿詩瑪を連れ去りる。阿黒哥は阿詩瑪を助け出すが、諦め切れない地主の息子が川の堰を壊した為、二人は洪水に流されてしまいる。阿黒哥は助かりますが阿詩瑪は見つからず、阿黒哥が阿詩瑪の名を叫ぶと阿詩瑪の代わりとして石林が現われたというお話である。石林には今でも阿詩瑪の岩が残っている。阿詩瑪の物語はテレビドラマになったこともあるそうで、中国でも良く知られている。
山東省のタバコは「泰山」である。泰山は古来、中国の歴代皇帝たちが天を祀る「封禅」の儀式を行なった聖地として知られている。孔子もこの泰山に登り「泰山に登れば天下は何と小さいことか」との言葉を残した。今も道教の聖山として参詣する人が絶えず、頂上まで6,300段の石段を歩いて登る人の列が続く。もっとも今はロープウェイで10分足らずで頂上に着けるので、昔の皇帝のような苦労をせずとも頂上から天下を見下ろす壮大な眺めを楽しむことができる。
山東省曲阜のタバコは「孔府」である。曲阜は儒教の祖、孔子の故郷として知られる古都で、今でも孔子の子孫が住む街である。孔子を祀る「孔廟」、孔家の邸宅「孔府」、孔家の墓苑「孔林」は「三孔」と呼ばれ、世界遺産にも登録されている。銘柄名はこの「孔府」にちなんだものである。孔家で飲まれたと言われるお酒「孔府家酒」と共に曲阜のお土産として喜ばれている。パッケージの裏面には孔子の肖像と、論語の一節「友遠方より来る、また楽しからずや」が書かれている。人類の友愛を説くありがたいタバコである。

日本人がよく吸っている北京のタバコは「中南海」で、日本にも輸出されているので見たことがある方も多いはずである。漢方が配合されていてのどにやさしいタバコである。中南海は故宮の西に広がる湖で、周囲は政府要人の居住地となっており、一般人は立入禁止の地域である。中国でも最初は限られた階級の人しか吸えなかったタバコで、名前もこの特別地域にちなんだものと言われている。ちなみに中国のタバコはニコチンタールの量が低いほど値段が高い。

嫌煙の波によって中国でもタバコの需要が減って、新種のタバコは冬虫夏草、朝鮮人参に続く健康タバコシリーズ第3弾「霊芝」タバコである。霊芝はサルノコシカケ科に属するキノコで、中国では漢方の上薬とされ皇帝にも献上されてきました。漢方大国中国、まだまだ健康タバコはありそうである。

内モンゴル自治区のフフホトで手に入れた「チンギス?ハーン」と言うタバコであるが、実は中国では無く、モンゴル国のタバコである。中国国内の内モンゴル自治区とモンゴル国、国は分かれていても往来は盛んなようである。